ハチとゲージ 1

さて ハチをやはりゲージに入れることにした。

今度は檻のように閉塞感がないように1メートル四方の解放感があるものにした。

 

本を読んだ。ふむ ふむ こうやってしつけるのか・・・

インターネットで調べた。  ふむ ふむ  こうやっておシッコシート覚えるのか・・・

 

なるほど 自分の場所があったほうが落ち着くんだな。

 

おシッコシートはゲージの中に入れてと・・・・

寝る場所はタオルを引いてあげてと・・・・。

おもちゃはここに置いてと・・・・。

水はここがいいな・・・。

 

ゲージを買ったよ。  ハチ!  君の家だよ。

誰にも邪魔されない  君だけの城  トイレ リビング付きの1LDKだよ しかも解放感があるから広く見えるよ。ほら後ろは窓だからお昼は外の風景も見えるよ。この中だったら 「みんな」が見えるから安心だろう。

 

よし よし  いい子だ いい子だ  入んなさい 

君だけのお城に。

 

なんだかんだ云って ゲージで寝てんじゃないか。

あいつは いい息子だな・・・。

 

深夜 300   

 

ワン ワン ワン

 

GARI GARI GARI GARI GACYA GACYA GACYA GAU GAU GAU

なんだ?

ガチャ ガチャ ガチャ ガウガウ ガリガリガリガリ

く―ン く―ン ワン ワン く―ン く―ン ワン ワン

なんだ?

 

ハチがなにかヤッテル。

かちっ  電気を付けてみた。

 

エツ!!!

サルが60センチほどの高さのゲージの隅の上で綱渡りのようにバランスをとって乗っているではないか!

 

サルじゃない  ハチだ 

ハチがゲージの上で綱渡りをしているではないか!!!

こいつどうやってゲージを上まで登ったんだ?! 

なんでこんなことをするんだ!

お前はワン子なんだぞ!

 

深夜3時だぞ。

もうすぐ 新聞配達が来る時間だぞ!

新聞を読みたいのか ハチ?

 

寝ぼけながら ハチを抱き上げて説き伏せる

 

ハチ

深夜3時は散歩の時間ではない

犬はゲージをお猿さんみたいに登ったり綱渡りはしない

いい子は朝まで寝るんだよ

 

僕は優しく言い聞かせてゲージに再度入れてやる。

「おやすみハチ」・・・

 

30分後

ワン ワン ワン

 

GARI GARI GARI GARI GACYA GACYA GACYA GAU GAU GAU

なんだ?

ガチャ ガチャ ガチャ ガウガウ ガリガリガリガリ

く―ン く―ン ワン ワン く―ン く―ン ワン ワン

 

起きる

電気を付ける!

 

またサルがゲージで綱渡りをしているではないか?

しかも その猿は降りれなくて困って啼いている。

でもハチだ!

 

「こら! ハチ!」

「いい加減にしろ!」

「お前は!」

 

近づくと 耳を下げて 目じり下げて しっぽを出来るだけ振って 潤んだ瞳で僕を見つめる。

 

「ぱぱ やっぱり助けに来てくれたね」

「僕のパパは凄いな」

 

思わず抱きかかえて

「パパはハチの為なら何だってやるんだよ」

 

親子の愛・・・・

 

んっ!   違うんだ!

 

ハチ このやろう もう寝ろ  お願いだから! 寝てくれ!また今日も恐怖の長時間マラソン会議なんだぞ。体を休ませないといけないんだ、睡眠が大切なんだ。

頼むから お猿さんにはならないでくれ!

 

えっ 僕がお願いしてどうするんだ。

 

しつけだ しつけだ 多分しつけができてないんだ。

 

二人の娘のしつけと同じになっているではないか。

 

どうしたらケアンテリアは60センチの高さのゲージに登らなくなるか?

 

そもそもわんこはゲージを猿見たいによじ登ったりしない。

こいつは新種のケア-ンテリア猿かもしれないな・・・・。