おいてきぼりのハチ

おまえは本当にワンコなの?
おまえは本当にワンコなの?

マンションのすぐ前にコンビニがある。

それはとても便利なマンションの冷蔵庫という感じで良く利用していた。

 

ある冬の寒い夜の事。

外は寒いがマンションの中は温かいので喉が渇く。

ビールが飲みたくなったので百円玉を数枚もって買いに行った。

あったあったこれにしよう。

便利でいいな、飲みたい時に飲めるからね。

冬のビールもおしいね。

 

帰ってソファーでTVを見ながらビールを飲んでくつろいでいた。

と、なにか足らない気がした、

あれ、なにか忘れてないかな?

 

アツそうだあいつは寝たのかな?

ハチ ハチ 呼んでも出てこない。

えッ どこに行ったんだ?!

 

アツ 

一緒にビールを買いに連れて行ったんだった!

 

僕は大慌てで階段をウリボウの如く下ってコンビニに向かった。

繋いだ場所を見てみると小さな黒い動物がチョコンとお座りをしてこちらを見つめている。

 

「ハチ。 ごめん ごめん 一緒に行ったの忘れてた。」

 

30分ぐらいたっただろうか?

抱きしめると寒気で体が冷たくなっている。

目を見ると少し潤んでいるような気がする。

 

「パパ 僕を忘れたでしょう。」

「僕よりビールが大切だったんでしょう。」

 

「ごめん、ごめん 本当にごめん。」

僕はぐっと抱きしめ連れ帰った。

 

もうハチがいない生活は考えられないな。