ボージョレヌーボーの罠

ボージョレーとは地名である。州に当たるそうなので日本でいえば

 

「県」の地名である。ヌーボーは「新酒」の事である。その年に収

 

穫されたブドウを寝かさずにその年に飲むワインの事である。

 

今年は11月21日が解禁日で日本でも大きなイベントとなってし

 

まったのがボージョレーヌーボーなのである。

 

本来はワインは寝かせてナンボという価値感を持っている。最近で

 

いえば20052009年が当たり年だというように。寝かせて飲む

 

価値感を寝かせないで飲む価値感に変えてしまったのが「ボージョ

 

レーヌーボー」という舌を噛みそうな言葉のイメージ力なのである。

 

日本人はフランス語の響きに弱いのだ。ラグジュアリーブランドの

 

言葉の響きも同じように、憧れのイメージとしてを無意識のうちに

 

洗脳されているのだ。

 

しかもこのフランス人の戦略は「毎年とれるブドウを寝かせて必ず

 

しも美味しいワインが出来るわけではない。それならば、寝かせな

 

い薄いワインを「ネーミング」を付けて「寝かさない」を「フレッ

 

シュ」という価値感に変えてイベントとして販売しよう。そうすれ

 

ば不作の年でも「フレッシュ」なワインとして販売出来るではない

 

か!そうしてこれを「ボージョレーヌーボー」と命名しよう。

 

というのがフランス人が考えた「価値の枠組み」なのである。

 

そしてこの罠にまんまと乗ってしまったのが、僕をはじめとする多

 

くの日本人なのである。いや本当にうまい罠だと思う。

 

ファッション的な要素も兼ね備えており「ボージョレーヌーボー」

 

を毎年楽しみに飲んでいるとかいうとお洒落に感じてしまうのだ。

 

女子会でも「ボージョレーヌーボー」は大人気なのだ。

 

恐るべき「罠」なのだ。

 

この価値転換の思考技術を日本人は持っていないのである。

 

 

 

では日本酒新酒を調べてみた。

 

 

 

日本酒の世界では、冬に醸造した後6月までに出荷されるものを、

 

4新酒と呼びます。もう少し長く、夏を越えて秋まで熟成させ、ここ

 

で火入れをせずに出荷されるものが、「ひやおろし」。

 

 日本酒業界では、昨年2008年から、「ひやおろし解禁日」を9

 

9日に決めたとのこと。

 

 

 

知っていましたか?9月9日が「ひやおろし解禁日」だって事を?

 

会話にもなっていない。「ひやおろし飲もうよ」なんていう会話は聴

 

いたことがないし言ったこともない。

 

ことしも「ひやおろし」の時期だねなんて言わない。

 

 

 

「ボージョレーヌーボー」と「ひやおろし」の魅力の差は何だろう

 

か?ボージョレーは形から入っている、「ネーミング」「ボトルのデ

 

ザイン」すでにファッショナブル生活志向の人のリーズナブルなワ

 

インというイメージを市場に植え付けることに成功している。

 

「ひやおろし」にはイメージのグランドデザインが無いのだ。

 

「味」の事を言っているのではない。僕も日本酒は好きだ。ワイン

 

とは違った美味しさがある。生産している方は「味」がいい点での

 

自信と誇りはボージョレーの生産している方となんら変わらない。

 

最大の違いは「それを飲むとどうなるのかというイメージ」が消費

 

者に届いていないのである。ボージョレーは「ファッショナブルな

 

生活志向」の人のライフスタイルをイメージする事が出来る。

 

「ひやおろし」からはライフスタイルをイメージする事が出来ない

 

のである。

 

中心の「価値」がうまく市場に伝わっていないのが最も異なるとこ

 

ろである。

 

トヨタが過去最高の利益を出した。原因は「原価を落とした事」と

 

であり、ブランドへの憧れが増加して利益を出したのではないのだ。

 

トヨタの最大の弱みはここにある。レクサスはBMWやポルシェに

 

追いつけないのは「ライフスタイルイメージ」が劣っているからで

 

ある。車の性能でも何でもない。

 

「ひやおろし」と「トヨタ」の共通点は「ファッション力」がない

 

ので「価値」の表現が下手なところなのだ。

 

BMWやポルシェが1 COMPANY/1BRANDに対して、トヨタの1

 

COMPANY /MANY BRANDSはイメージを集中させることには不向

 

きな構造とも言える。