セレンディピティーと人工頭脳  
    
 
3Mの大ヒット「POST IT」は1969年に発見さた。  
強い接着剤の開発を行っていたペンサー氏は「弱い接着剤」を作ってしまったそれが「POST IT 」だ。PRODUCT OUTどころか「いじってたら出来てしまった」レベルの発見なのだ。そして1974年に「付箋」に使える事をアーサー氏が発見して今日の大ヒット商品になったわけだ。狙って出来た商品ではない。しかし全くの「唯一価値」(BLUE OCEAN)が生まれる。3Mがユニークなのは開発ルールだ。それは75%は与えられたプロジェクト開発25%は「密造酒作り」(好きな研究を行ってもいい)を奨励している事だ。同じくGOOGLEは80%を指示されたミッション20%は自由研究だ。  
つまり「アメとムチ」=信賞必罰に基づく与えられた動機付け(性悪説)は高度成長時代は有効だが21世紀に機能しない。  
人は指示されるより「自己決定」の行動には「やる気」「責任」が生まれ「思考力」「観察力」が増すのだ。  

 
直線的なAコースではなく回り道B Cの「予定調和」を壊した思考コースの「風景」にセレンディピティーが眠っていると思われる。大切な事は柔軟な観察感を維持する事だ。  
 
「想定内」を求めるロジカル思考内にはセレンディピティーは見つからない。予定調和を壊した思考の中にセレンディピティーは眠っている。エジソンはアイデアに詰まった時には車で遠乗りして回り道をしていた。彼はそこにセレンディピティーが眠っている事を知っていたのだと思う。  
    「思考の移動距離とひらめきは比例する」  
http://connect-de-r1.jimdo.com/sparkling/7-エジソン-ピカソの共通点/  

人工頭脳は狭いし広範囲で直線的で正確である。「0」「1」の世界だから当然である。しかし人は風景を「香り」「色彩」「絵画」「言語」で表現し伝える事が出来る。そこに「感動」や「感性」が生まれる。  
現代社会の「0」「1」的な職務機能は人工頭脳にとって変わるだろう。しかしそれは非常に狭く直線的なものだ。  
混沌とした情緒の変化は「人間」の「魅力」であり「神秘」だ。その中にセレンディピティーは生まれBLUE OCEANが生まれる。  

 2016年 多くのセレンディピティーが生まれる事を!  



                         ハンカチのライバルは誰だ!

ハンカチです。

小さなハンカチが大きなマーケットの流れの中で絶えず知恵と勇気をもって確実に「進化」しています。

今回はこの小さなハンカチの大きな変化について「感性分析」してみたいと思います。

あなたにとってハンカチとはなんでしょうか?

ハンカチの歴史は古く2000年以上前にエジプトでリネンに刺繍が施されたハンカチが発見されています。王室だけに使う事が許され、汗を拭いたり手を拭いたりする「たしなみ」「エチケット」として使われていたようです。ローマ時代には競技場で国旗のようにハンカチを振りまわして使用し男性の物だったという文献も残っています。

中世にはいるとヨーロッパで「婚約の印」としてつかわれたそうです。戦いに行く騎士に女性が自分のイニシャルを付けて贈ったとされています。その後、女性や様々な階級へとハンカチは広まり1540年にはベニスでポケットチーフが広まり、素材も共にひろまりレースや刺繍などの装飾性を増して四隅には金や銀のタッセルも使われるようになりました。妃マリー・アントワネットが、フランス宮廷のファッションリーダーとして君臨したのは、18世紀末。彼女が様々な形をしていたハンカチーフの中から、正方形を選んで国の内外に広めたといわれています。そのマリー・アントワネットの誕生日にちなんで、113日は「ハンカチーフの日」となっています。

コロンブスがアメリカを発見して「綿花」が世界中に普及して安価なハンカチが世界中に広まる事になりました。日本では1880年ころの鹿鳴館時代から急激にハンカチの需要が上昇し、そのまま普及してゆきました。

40センチ四方の小さなハンカチには2000年以上の長い歴史がある事を思い知らされます。

時代の変化と共にハンカチもその用途を変えつつ「進化」し続けているのです。

1970年代からのブランドブームに乗って様々なハンカチブランドが日本市場に展開されてきたことで、世界の中で最も大きなハンカチの市場は今でも「日本」です。

 

~現在のハンカチのライバルは「食料品」である!~

40年ほど前小学校では「ハンカチ」「ちり紙」検査があって先生や風紀員が検査していた記憶があります。道徳的に「必需品」として必ず持ち歩くものだったのですね。

もちろんお父さんもお母さんもハンカチは必ず持っていくエチケットとしての必需品でした。そしてこのハンカチは「ギフト需要」としての市場も大きく、「ちょっとした心使い」にぴったりの商品だったのです。そして各社はライセンス生産をしましたので、ブランド物がハンカチ売り場に並ぶようになり小さなハンカチでもブランドを所有する満足感を持てるようになったのです。そうですね、これは高度成長時代の代表的な売られ方だったのです。しかもこのハンカチは「サイズ」もなく「季節感」もないので「リスク」が少ない商品だったのです。

 

    「素材変化」~タオル地の普及~

(理由1)機能重視

つまりコットンの平織り(薄い織り方)からタオル地に変化してきました。これはギフト需要が徐々に下降して自分のためだけに「購入」するケースが増え「タオル地」の水分を吸収する機能性が市場に受けたのです。今では60%以上はタオル地です。

(理由2)簡単メンテナンス

綿やリネンはアイロンが必要で手間がかかるのですが「タオル地」はアイロンの手間も省けます。毎日使うものですから「清潔」なハンカチを求められます。何回も洗って干していればあとは畳むだけで使用する事が可能です。

(理由3)拭く行為の増大

地球温暖化の影響で「汗を拭く行為」が増えています。またペットボトルの普及によって周りの水滴を「拭き取る行為」が増えています。自分用やペットボトル用等の用途別に使用されています。

 

    「形の変化」~隣のカテゴリーへの侵略~

(ハンカチのスカーフ化)

タオル地で幅はハンカチ幅40センチで長さが90㌢の長い「ハンカチタオル」という商品がヒットしているのです。決してファッションではなく機能性を求め、首に汗をかくので長いタオル地のハンカチタオルが生まれたのです。価格は2000円程度ですから購入しやすい価格帯です。使う側の感覚としては「ファッションタオル」という気分でしょうか?ここへはスカーフからの侵略は困難なのです、なぜならば「スカーフ」はファッション要素が強く「汗ふき」としての要素をスカーフに入れてしまうと根底にあるファッションとしてのスカーフが壊れてしまい高額品が販売出来ません。

(ポケット機能付きハンカチ)

そしてパーツを加える事で新しい機能を持つ事になりました。そればタオル地のハンカチにポケットを付けたのです。「ポケッタブルハンカチ」の誕生です。

これは、女性がお化粧直しをする再にポーチのような大げさな物ではなく、使用するのは「口紅」などの限られた化粧用品ですから小さなポケットに何気なく目立たないよいに「口紅」を入れて席を立って化粧室に行けるという機能とファッション性を持ち合わせています。もちろん「汗を拭く」という行為を維持しつつ「ポケット」を付けたわけですから「汎用性」が高く口紅等を入れることを想定していますから「ファッショナブル」でなければいけません。

(ハンカチのバッグ化)

そしてこのハンカチはバッグのアイテムにまで進化しています。それは巾着ハンカチなのです。形を説明しますと広げると普通のタオル地のハンカチですが周りに穴が施されておりその穴を「紐」が走っています。その「紐」を引っ張るとなんと巾着に変化します。平らなハンカチが立体的なハンカチ巾着にかわるのです。女性が特に旅行先等で小さな細かい物を分別して入れる際(化粧品 薬 キャンディー コンタクトレンズ等)にとても重宝される商品です。そのまま広げて使えばハンカチですし、紐を引っ張れば「巾着」に変化して更に、これに小さなポケットを付けると「ポケット付き巾着バッグ」に代わってしまうのです。しかも簡単に洗濯もできるのですから「使い回し」と「簡単手入れ」に優れた商品だと言えます。

 

A 「素材を変える」事で基礎的な「メンテナンス機能」が大きく進歩しました。

B 「長くなる」「機能を追加する」「立体にする」などの形への変化とその「組み合わせ」が新しい「価値軸」を生みだしていきました。

 

(ライバルは食料品)

これは「ギフト需要」という価値軸でのライバルです。

その1000円前後の価格帯のメリットで(送る人贈られる人に大きな負担がない)、ハンカチは百貨店婦人雑貨のトップのカテゴリーです。「ギフト重要」を伸ばす為に企業は様々な手を打ってきます。

日本は四季があり公的私的な行事があります。ハンカチは基本的には大きな「素材」の違いはありませんが、「色」「素材感」「デザイン」「PROMOTION」で季節感を表していきます。そして年間のギフトイベントに合わせた「バレンタイン」「ホワイトデイ」「母の日」「父の日」「卒業」「入社」「クリスマス」「誕生日」等の商品開発が12ヶ月の月別ギフトマーチャンダイジングとなり的確に行われているのです

この大きなギフトを新価値軸に考えたときにこれからのライバルは食料品となります。食料品は「食べる」という人間の根源的な活動の中にあるカテゴリーです。お中元お歳暮をみると殆どが「食料品」なのは頷けます。(靴下もかつてはこのカテゴリーでした)

婦人雑貨の中では、ハンカチかはすぐ横のカテゴリーへは半歩参入する事に成功しました。しかしもっと大きな巨人「食料品」があります。次のターゲットはこの食料品のギフト牙城をいかに攻略するか?!ここが大きな価値軸変化の発想元となり企画が進められています。小さなハンカチの大きな進化は決して止まる事はありません。

異業種での新しい価値軸でのマーケティングの攻防はこれから更に始まろうとしています。