感性の種類


monotone world
monotone world

「感性」とはいったい何なんでしょう? 例えば日常の会話の中ではこんなつかわれ方をしていませんか?

 

「感性豊かな作品である・・・・・」

「あの人の感性がすき」

 

作品や人に対してつかわれることが多いようです。

 

「感性」英語ではSensibility つまりSenceのAbility 、「感覚の能力」とでも解釈できていい表現だと思います。

 

感性マーケティングにおける「感性」の分類は大きくはIN PUT感性とOUT PUT 感性の2種類に分かれます。

そしてIN PUT感性は3種類に、OUT PUT感性は2種類に分類できます。

 

  1. IN PUT 感性  ⇒受動的な感性です。自然な感受性と意識した観察力、洞察力が重要になります。

「感性マーケティング」ではこの感性力を「ひらめき」へのアプローチとして位置付けています。自然的な感受性は「アート想像」への入り口となり、意識する観察力や洞察力は「人」にたいする「想いの創造」の入り口となります。


 

1-1 自然に対する感性


 プロバンスの風景が多くの印象派の画家たちに素晴らしい絵画を創造させました。人は星 海 砂漠 山 等の自然に出来た風景に畏怖や感動を覚えます。人が美しいと感動する風景は世界中の殆どの人々が感じるものです。ここに「人類の同質感性」が眠っているような気がします。

 

1-2  人への想いやり感性 (恋愛感性)

 

想いやり感性は相手の深層心理を深く読み取る力を持つ感性です。他人に対して想いやり深い人はこの感性力が強いのです。よく「場の雰囲気が読めない」とかいいますね。人間が集まると「雰囲気」という目に見えない「感じ」が発生します。そこでふさわしい会話や振る舞いが要求されます。これは相手の事をどれだけ深く想っているかという感性力に他なりません。恋愛感性と呼ぶのも好きな相手の心の想いを、深く洞察している行為が思いやり感性そのものだからです。貢献や献身という行為も重要なポイントとなる言葉です。

感性マーケティングではこの感性力でマーケットインの思考でお客様とのコンタクト手段を展開していきます。

 

1-3  人工物への感性 (モノ コト)


 人類は昔から共同生活者の「人」の心を感じながら「モノ」や「コト」を作り出し、共同生活の向上を計っていったのではないでしょうか。そして「人」が作った「モノ」や「コト」に対しても、自然に対処すると同じように観察や洞察を行ってきたのです。

また紀元前の作品でも現代の芸術的作品に対しても人は何らかの感動を覚えます。彫刻 絵画 活花等の形としてあるものから、小説 詩 等の文字で表現するもの音楽 や映画 アニメ 演劇等 アナログ的なものからデジタル的なものまで多種多様な芸術作品があります。面白いのはここでは「好き嫌い」が発生するということです。 つまり対象となる感性の好き嫌い傾向があるという事です。自然発生的な感動は「同質感性」があるのですが、人の手で想像された物に対しては個人の差が発生しているのです。ここに多種多様な「感性」がある我々の市場の面白さがあるのだと思います。

 

 

    2.OUT PUT 感性  ⇒能動的な感性です。

 


自然から「感動」を感じると人は自分でも何かしら「創造する」欲求が生まれます。この感性はその創造力そのものの「感性」です。日本では誰でもが「芸術家」にはなれないと思っていますが、私の経験から言えば、イタリア人はほとんどの人が自分を「芸術家」だと思っています。彼らのオフィスや工場や部屋を訪ねるとその人のクリエイティブな個性が溢れる作品やインテリアを見る事が出来ます。小物の配置、絵画の選択、照明、個性があってとても楽しい。日本のライフスタイルや仕事のオフィスも大いに見習うべきところです。豊かな感性は日常の習慣の織物ではないでしょうか。

ちなみにフランス人はほとんどの人が自分は「哲学者」だと思っているふしがあり面白いですね。

このOUT PUT 感性は二つに分類できます。

 

 2-1  想いやり創造力感性 

 

1-2 の想いやり感性(恋愛感性)から生まれる「モノ」や「コト」をいいます。インプットされた情報を基に仮説を立てて「これがうれしいと思うのでは」「こんな雰囲気が好きに違いない」等と相手の立場に立って相手に喜ばれるような「コト」や「モノ」を創造する感性です。現代の経済のマーケティングで「企画」と一般にいわれている創造力です。これは恋愛を例えるととてもわかりやすく理解が出来ます。それは、好きな人に気に入られるための商品開発およびアプローチやフォローやメンテナンスのプロセスの全てなのですから。

 

 

 

   2-2  創造力感性

 

創造力感性はまだ見たこともないようなものをクリエーションする力を持つ感性です。クリエイターの感性が指示されるのは、生存中か死後かいつの時代になるかわかりません。ある時代に人々に支持されているクリエイターが持つ感性です。感性マーケティングでは、この感性力でプロダクトアウト思考の新商品開発を展開していきます。エルメスやフェラリー が持つ「審美眼」が重要な役割を持ちます。絶えず時代は変化します「変化する事だけが変化しないこと(ドラッカー)」です。変化する時代に対して有効なのは「感性」に他なりません。

 

 

 

感性はこのようにインプットされた感性が、やがてはアウトプット感性となり「モノ」「コト」に変化していきます。そしてその「モノ」「コト」を感じる事でまたインプット感性がアウトプット感性に無限に転換していくのです。

 

 

*感性をスパイラルさせよう!

 IN PUT とOUT PUT を上方へスパイラルさせていきます。IN PUT した感性のエネルギーをOUT PUT して行くことがとても重要です。感性の循環は感性の「質」「量」を高めていきます。ピカソの莫大な量の創作活動と、91歳で亡くなるまで作風が変化し絶えず新しい芸術に挑戦したのはこのスパイラルする感性です。