チロルチョコとAPPLEは似ている


「チロルチョコとアップルは似ている」

〜マーケティング部がない企業のPRODUCT OUT

 

動物の馬の力で動く馬車に変わってフォードはエンジンという

人工物の力で動く「車」を世に出した。

この開発に当たってフォードは市場調査を行わなかった。彼は

大衆に聞いてみても「もっと早い馬が欲しい」という答えしか

返ってこない事が予想出来たからと説明している。

これは消費者が「車」という商品のイメージを創造出来ないし

知らなかったからだ。

 

それではダイソンの掃除機はどうだろう?掃除機は白物とい言われる電化製品の代表格で多様な機種が生まれ数々の機能を持った製品が市場を席巻していた。つまり消費者は掃除機を十分

に知っていたのだ。この環境でダイソンのプロダクトアウトが

生まれた。それは吸引力の絶対的なパワーを開発した事だ。その吸引力を重力比較すると、F1=3G  ジェット戦闘機=7G ダイソン掃除機=15Gという圧倒的な力を持つエンジンを開発したのだ。そして社員の3分の1は科学者である。企業の哲学は「DIFFERENCE &  BETTER」。ダイソン氏は「当たり前のように定着したカテゴリーの中に大きなチャンスが眠っている」

という。そしてかれは「扇風機」「加湿器」と次々にリリースしている。商品の機能をどこよりも深く科学的に掘り下げたと

ころに「PRODUCT OUT」は眠っている。

 

 

それではチロルチョコはどうだろう。1919年創業の福岡県田川市で生まれた老舗の企業である。日本では珍しくワンブランドワンカンパニーなのでブランディングが効率的に出来やすい。子供の「おやつ市場」のチョコレート部門のドンから始まり、僕の世代では「10円あったらチロルチョコ」のメロディーが

未だにインプットされている。企画チームは約10名。コンセ

プトは「悪のり」つまり「どういう商品を創ると面白いかな?」というコンセプトはマーケットインのどまん中のカテゴリーで

はなく意外性を追究するコンセプトなのだ。そして「試作が簡

単」という商品特性を活かして、とにかく1日に10種類は必ず試作を行うのだ。つまり企画チーム=消費者という「悪のり」という「楽しさ」の価値観が同期化している。「楽しさ」が同期化した「悪のり」はプロダクトアウトを可能にする。

この仕組みはAPPLEと似ているのだ。

 

 

STEVE JOBSはこう言っていた。

「僕らはまず 自分が欲しい物のは何なのかを把握する。そして同じ物を多くの人も欲しがるかどうかきちんと考えることがアップルは得意なのだと僕は思う。僕らはそのプロなんだ。

だから次にブレークするのは何だと思う?と社外の人に聞いたりしない。」

 

「ユーザーを会議室に閉じ込めて細かく検討してもらうと言う事を絶対にしない。新しい技術を自分でいじり、自分がどう感じるのかチェックしてエンジニアにフィードバックする。使いにくければシンプルにしろと指示を出す。自分が気に入ればアップルの顧客も気に入るはずだと考える。」

 

 

日本は「超成熟化」「少子化高年齢」「高感性」市場である。

あらゆるところでオーバーラッピング現象(異業種の相互参入)

が起きている。これは市場拡大ではなくカニバリズムである。

今後の我が国、日本のキーワードは「PRODUCT OUT」と「パーソナルライフスタイルコンシェルジュ」である。

「感性」が大きな差を生む時代がやってくる。