アタッシュドプレス

 

この言葉を知ってますか?

ファッション業界に入ってこのアタッシュドプレスの職業があるのを知ったのはミラノでプレスの仕事を説明受けたときだった。いわゆるブランドが持つべきイメージをいかに正しく強く市場に顧客に

伝えるかという戦略的PRの仕事である。狭義でいえば、誰が読んでいるどの雑誌にいつ何をどんな記事で写真で掲載するのか?スタイリストは誰を使って著名人にそのブランドを着せるのか?つまりそのブランドのアイデンティティ、マーケティング、デザイン、顧客を理解していないと出来ない仕事である。

 

欧州では政財界の人物にもこのアタッシュドプレスがついている。その日に強いメッセージで演説する事が必要な時には、それに見合ったスーツやネクタイ、ポケットチーフ、靴、メイクをアタッシュドプレスは選択するのである。そのメッセージを発信する人とそのメッセージが誰に対してどのような意味を持つものなのか理解していないとそのスタイルのイメージをコントロールする事は出来ない。

 

先日フランスから農産加工業大臣のギヨーム・ガロ氏が来日された。その際にあるイベントで同席したのは農林水産大臣の林芳正氏である。そばでお二人を見る機会があったので観察してみるとどうみてもガロ氏のスーツスタイルはアタッシュドプレス的に計算されている知性を感じるのに対して残念ながら林氏のスーツスタイルはどうもいけないのである。


これは何を意味するのか?

ブランドと人は同じ素材なのである。

アタッシュドプレスは消費者視線なのである。消費者からみたブランドや人物のイメージ評価を予測しながら戦略を立てるのである。ここが日本の企業の「広報・宣伝」とスタンスが違うところである。

 

欧米社会では最初の「見た目の印象」を非常に重視する。フランス人と仕事をしているとその会社のオフィスの玄関のDISPLAYの雰囲気で会社を判断するケースも多々あるのだ。(本当です)

 

「こういう場所に気使いが無い会社にはこの仕事は紹介できない。」こういう判断を担当者と合う以前から決定してしまうのだ。つまり企画に置き換えると「いくらいい企画をしていても第一印象=見た目が良くなければ消費者は満足しない」と言う事である。これはお金をかけて派手なPRが必要だという事ではなく、企画が理解されるイメージを消費者に伝えるという事を大切にしているかと言う事である。

 

日本の企業の経営はいまだに「機能」が他社より素晴らしいからPRはいらない。置き換えると「中身は素晴らしい人物なので服装や印象は気にしない」ということだ。これは間違いではないが、消費者の理解には長い時間がかかってしまい誤解を生みかねない。「中身が素晴らしければそれに見合った服装や印象を発信する」これは消費者満足の一環だと思う。

 

いかがでしょうか?

アタッシュドプレスという観点から「会社」や「家族」や「チーム」

や「企画」そして「自分自身」を見直しては?

新しい発想が生まれるかもしれない。