哲学がなければブランドは存在しない

 

それでは具体的に価値中心設計の事例をBMWで見ていきましょう。皆さんの携わっているブランドコンセプトは何でしょうか?ブランドの哲学と言ってもいい価値の中心に在るものです。この価値の中

心をお客様に伝え、お客さまがその価値を共感して喜んで頂く事が価値中心設計の目的です。

 

BMWのコンセプトはFreude am Fahren=駆け抜ける喜びです。この中心となる価値を伝える為に設計が始まります。このコンセプトを実現させるために3つの技術が必ず必要でした。この技術開発のために情熱と技術開発の歴史と文化が必要です。

 

それは①縦置きエンジン②後輪駆動③重量前後比率5050の3つです。コンセプトから技術が生まれました。デザインはどうでしょうか?BMWの後部座席は若干狭くデザインされています。それは機能を優先させた結果狭くならざる得ないのです。3つの技術が駆け抜ける喜びの機能を実現させます。デザインは機能に従わなければいけません。だから後部座席は狭くなって当然なのです。ここでマーケットインのコンセプトが入ってきたらどうでしょうか?後部座席を広くしたらどうなりますか?駆け抜ける喜びは伝わりません。多分このポイントは企画と営業のせめぎ合いが行われているポイントでしょう。コンセプトを明確に伝えるにはプロダクトアウト思考が必要です。

 

後部座席が狭い理由を顧客に正確に伝える事で「魅力」となりえるのです。後部座席を広くすると「魅力」は消えてなくなります。確立された価値を基準として①優先順位付け②重み付け③取捨選

択が行われなければいけません。日本の製品企画はここが理解されていない気がします。ユニークな商品が中々生まれてこないのは過度なマーケットインやロジカル分析に頼りすぎる事が原因だと思いす。

 

そして足回り、インパネ、ステアリング、音、クッションなど車の必要要素が機能に従いデザインされていきます。そしてPRPROMOTIONも全てこのコンセプトに従い製作されます。

 

つまりこの車のコンセプトを中心とした価値設計車、つまり「駆け抜ける喜び」を体感できる車が完成されるのです。お客様は「車」を買うのではなく「駆け抜ける喜び」を体感できるBMWを手に入れる事が出来て、実際に体感して「ファン化」が始まるのです。

「これでなくてはだめ」のカテゴリーに入るのです。

 

 

 

 

それでは左の図を見て下さい。

参考:http://connect-de-r1.jimdo.com/魅力を設計する/bmwの価値中心設計/

商品の5重構造を説明します。

 

中心にあるハートの部分がお客様に伝えたい「魅力価値」です。そのハートを機能が取り巻きます。価値が現実化する際に機能の精度や感性度が最重要です。その周りを技術が取り囲みます。機能

を実現化する為の技術が必要です。そして本体デザインがその周りを取り囲みます。ハートが具体化した姿がデザインなのです。デザインは顧客の1ST IMPRESSIONに繋がっていく非常に重要なポイ

ントになります。そして最外部にPRESSPROMOTIONがあります。ハートを伝える為のPRESS PROMOTIONでなければいけません。この五重の構造を支えるものは受けとり手の台です。この台には二つの車輪がついています。「チャネル(販路)」と「価格」です。そしてこの車は右側のハート、つまりお客様のハートと「感性」の同期が成されたか成されないかで、商品としての価値が決定するのです。

 

4P3Cの古典的なマーケティングの手法から、新しい製品作りが今求められています。

 

マーケットインやロジカルな数字分析だけに頼らない「プロダクトアウト」思考の商品が2013年に沢山生み出される事を願っています。

 

6月からスタートした CEFE NEWS, VOL21となりました。

http://connect-de-r1.jimdo.com/cafe-news-mail-magazine/

 

ご購読ありがとうございます。

素敵なクリスマスとすこやかな新年をお迎え下さい。

*来年は18日発行 VOL 22です。