インナーブランディング

ブランディングを円滑に進めるにあたりインナーブランディングは非常に重要な要素となります。インナーブランディングが浸透していればブランディングは成功すると言っても過言ではありません。

ブランディングは5重構造で出来ています。その構造はコアの「哲学」に従い、「経営資源」「機能」「デザイン」そして大外枠に「コミュニケーション」があります。全てはコアの「哲学」に従わなければいけません。例えばBMWの後ろ座席が狭いのはエンジンの設置の問題です。設置場所はBMWの哲学「走り抜ける喜び」に従い設置されているので後部座席が狭くなります。ここで後部座席を広くしたらどうでしょう?「哲学」が崩れてしまいます。デザインは「哲学」に忠実に従うことで、「特徴」「魅力」に変換されています。インナーブランディングとはこの「哲学」に従う組織内の意識を統一させることです。各セクション全てが「哲学」を理解してその実現の為に「意思決定」を行うのでBMWの「哲学」はブランドとしての魅力価値を持ちます。「デザインは細部に宿る」という言葉があるようにブランディングもまた価値は細部に宿ります。各セクションの細かな意思決定は全て「哲学」を守っているので全体としての商品やブランドに魅力を感じるのです。もし異質なものがあればそれは違和感となり市場に伝わってしまい、魅力あるブランディングは生まれません。インナーブランディングはまた「映画」のようなものです。全ての俳優やスタッフや裏方さんがその映画の「哲学」を理解して動き演じることで、その「映画」は素晴らしい作品となるのです。クリエーションのエネルギーを同じベクトルに向ける力はインナーブランディングから生まれるのです。

このインナーブランディングはどのように浸透させればいいのでしょうか?それは経営トップの指示が重要なポイントとなります。経営者は指揮者ですので組織というオーケストラの一体感を引き出せるのです。

インナーブランディングを実現する為には「凡事の非凡なる徹底」(奥井俊史氏)という行動が必要です。

この意味は、誰もが軽視しがちな「そんなことは当然わかっている」と考えている諸々のことが凡事。非凡なる徹底とは、誰にでも簡単にはやれないところまで徹底することである。(そこまでやるか?!)

そこまでやるかと第3者が驚くくらい徹底してやらないと人は理解できません。「哲学」を伝えるため社内での伝導を呆れるほど経営トップ陣が行動するのです。今はIT技術の発達でSNSは大量の情報を人に伝えるようになりました。我々は情報という洪水の中で右往左往しているのかも知れません。そこで尚更必要な事は「必ず伝える」という当たり前の事の繰り返しです。それを呆れるほど行ってやっと組織にインナーブランディングが浸透していくのです。ワンブランドワンカンパニー(APPLE DYSON BMWなど)であれば浸透しやすいですが、日本の企業は多種ブランドワンカンパニーが多く存在します。尚更インナーブランディングを徹底していなければ外に向けてのブランディングは出来ないのです。インナーブランディングの徹底は「哲学」を深く分析する事にも繋がりブランドに対して「愛情」が生まれて来ます。それは企業にとってもブランドにとってもかけがえのないことです。なぜならば、それはブランドに携わる人の「プライド」に繋がっていくのです。