村上春樹のPRODUCT OUT

僕は村上さんの作品名が好きだ。
「ノルウェイの森」「ダンスダンスダンス」「羊をめぐる冒険」 「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」「ねじまき鳥クロニエル」 何だろう?このタイトルは?中身を読む前に心にフックがかかる。

村上さんは小説を書くときにはまずは「物語性」ではなく「タイトル」を探す。この時点では自身もどのような小説になるのかわからいない。タイトルが村上さんの小説の入り口でこれから起こる事のイメージの源なのだ。最初のイメージが作品を作り出す。
進め方がダイソンやアップルと似ている。

特に村上さんの描く「井戸」に僕は何度も篭った。まるで自分が暗い井戸の底で、背中を石垣にもたらせて足を伸ばしている感覚に陥る。そして井戸の壁をすり抜けて別の世界に行く感覚を味わうのだ。この時には「時間」が半透明のオブラードに包まれているように感じる。物語と「同期化」している。僕は自分を失った。

村上さんは作品を書く時には自分が見たことを描いているという。自分自身で深い心の中に入り込んで地上にはいない「ジョニーウオーカー」や「ヤミクロ」「羊男」と出会い会話をして行動して作品を描いている。

地上に在るもしくは在るだろう物語は「MARKET IN」だと僕は思う。村上さんの場合は地下に潜って地上にないものを描くので「PRODUCT OUT」と思う。「PRODUCT OUT」は人々の深層心理に住んでいる「まだ見たことがない何か」を見て触って会話をして地上にない魅力を作るのだ。

「魅」は「鬼」+「未」で出来ている。
鬼が出てくるのかもしれない、ドキドキして確かめないと気が済まない。何だかわからないけど惹きつけられるのが「魅力」なのだ。

ブランドや商品に不可欠なのは「魅力」だ。

世界中に村上さんのファンがいる。
歴史 言葉 価値観 習慣 生活 全てが異なる国々に村上さんのファンがいるの何故だろうか?
ファンの年齢層が一定化しているのは何故だろうか?

それが「PRODUCT OUT」の強さだと思うのだ。
多分人の深層心理の心のカオスは人類共通ではないのかな?
だから世界中に村上さんのファンが存在するのだ。

その意味で僕としては今も「ノーベル文学賞」を期待している。

古典的な「文壇」の香りがしないところも好きだ。

STEVE JOBSに似ている。