BMWのブランディング


全てのブランドの中心にあるべきもの。  
それは「哲学」。これがなければ「ブランド」ではありません。それではBMWを分析しましょう。  
BMWの哲学はFreude am Fahren=「駆け抜ける喜び」。  
この哲学を中心にブランディングの設計を構築しています。哲学を取り囲むのは「経営資源」です。つまり人 物 資金 歴史 技術 社風といった事や物です。この中から「機能(技術)」を生み出してそれがブランドの実質的特徴となります。「機能(技術)」は「哲学」に従い生まれたものです。  
BMWの機能は「縦置きエンジン」「後輪駆動」「重量比50:50」の3つです。これは全て「哲学」に従い生まれたものです。「駆け抜ける喜び」を表現する為に生まれた「機能(技術)」です。機能は哲学に従っているわけで「魅力」と成ります。デザインも「哲学」に従います。BMWの後部は若干狭くなっているので後部がやや詰まった感じを受けます。これは機能に従った結果生まれたデザインです。これもまた「魅力」となり「哲学」に忠実なわけです。  
 
ブランドを最終的に包み込んでいるのは市場との「COMMUNICATION」です。「哲学」に従って出来たBMWを最終的にお客様に正しく伝えなければいけません。  
ここで営業マンが哲学を理解していないとブランドが崩れてしまいます。理解していないとマーケットインの発想で「後部座席を広くしてほしい」なんて事を言いかねません。後部座席が狭いところに「魅力」があるのにそれを壊してしまう事になります。理解している営業マンは後部座席が狭い理由を「魅力」に変えてお客様に伝える事ができます。  
日本の企業はマーケットインが得意ですからどうしても  このようになりがちですが、「哲学」が明確であれば「魅力」を確立させて「個性」となり魅力的ブランディングができる訳です。  そして足回り インパネ ステアリング ドアを閉める音 クッション等等 全てが「哲学」の「駆け抜ける喜び」を伝えるために考案されて魅力的な車ができます。  お客様は移動手段としての「車」を買うのではなく「駆け抜ける喜び」を手に入れることに他ありません。そしてこの  「哲学」に共感して「ファン化」が始まるのです。  

千駄ヶ谷の裏路地の洒落たマンションの駐車場に6台の車がありました。左からBMW  BMW  VOLVO  BENZ  BENZ  BMW 全て外車なのです。  
このあたりの住人は感度が高い人が多いので日本の車に「魅力」を感じないのでしょうか。  
日本の車はターゲットを絞ってマーケットインで大衆車を作るのは上手ですが個性的な「魅力」はなかなか育ちません。  
馬車から車へのイノベーションを起こしたフォードが言った面白セリフがあります。  
「お客の声は’もっと早が馬がほしい’と言うだけ。誰もエンジンで走る車を欲しいとは言わない。」