中国4000年の不思議

それは不思議な行進だった。

香港に近いとある小さな都市での事だ。帰国する日の早朝6時前に僕はそこでハンバーガーとコーヒーを食べる事が出来る唯一の24時間OPENのケンタッキーに向かっていた。まだあたりは暗闇で路地の屋台の準備がようやく始まったばかりで昔懐かしい「煉炭」に火を起こしたばかりの香りが路地から香っていた。昭和30年代の香りである。

ケンタッキーに向って歩いていると鉄筋コンクリートを壊しているような音が聞こえ始めた。なんだこんな早朝に工事してクレームは来ないのかな?なんて思って歩いているとその音はだんだん大きくなっていく。中国はわからないところがまだ多いから徹夜で工事しているのだろうな。と想像しながら歩いていると前方の左側の路地から白い帽子をかぶったおじさんたちの行列が「ぬっ」と現われた。どきっとして立ち止まってしまう。その行列は8人ばかりのおじさんの行列で白い服に先頭のおじさんが白い帽子あとは青の帽子をかぶっていた。右腕に黒の腕章がお葬儀を思いださせる。目を見張ったのは先頭のおじさんが「キョンシー」を止めるお札のようなものをバラまきながら早足で歩いているのだ。もう不気味である。何が起こったんだ?異空間にでも入ったのか?

その写真の行列の10メートルほど後から今度は白い服を頭からまとった20名ほどの行列が続いて出てくるではないか?思わず後ずさりをしてしまう。コンクリートを破壊する音はどんどん大きく激しくなってくる。いったい何なんだ?その白装束の行列から遅れる事10メートル、今度は大きな銅鑼を3個ほど載せたリヤカーが出てきた。リヤカーの上ではおじさんが3名のっており銅鑼をたたく決まりごとがあるらしくあるリズムの元に大音響とともに僕の目の前を過ぎていく。なんという風景だ。キョンシー映画にもカンフー映画にもこんなシーンは出てこなかった。僕はスマートホンの写真をやっと最初の一枚は取れたがあとはとることを忘れてこの不思議な行列に見入っていた。

いったい何なんだろう?なんの意味があるのだろう?不思議だ。足早にこの行列は僕の前から、まだ暗闇が支配する夜明け前の路地に吸い込まれて消えていった行った。

中国4000年の不思議である。