「カスタマイズの流れ」

〜マスから個へ〜

 

1900年代に入りフォードのINNOVATION,つまり大量生産大量消費の時代が始まった。このINNOVATIONは大量生産によって価格を抑えて労働者自体が消費者となるフォーディズムだ。フォードの車から始まり、その商品は一般の家庭電化製品まで普及し余暇が広まった。生活の豊かさが芽生えてきたのだ。やがて繁華街が生まれ夜の飲食のビジネスが生まれた。沢山のライバル商品が生まれ競争原理が働きそれはクレジットやマーケティングが生まれ差別化を図るようになった。21世紀に入っても我々の経済システムは、ほぼこの路線の沿線上を走っている。例えばファストファッションと呼ばれるビジネスはこの典型であり、大量の原料を仕入れ生産するのでコスト競争を勝ち抜く事が出来る。一方で中価格の商品の市場はモバイル市場やファストファッション価格市場へと吸収され、市場は高価格商品と低価格商品という2極分化構成となった。

 

注目は「個へ質の提供をする(個質)」のビジネスだ。大量生産は在庫を必要とするので店舗の拡大と販売員の確保など先行投資が必要なので資本力がある企業のビジネスモデルだ。しかし「個質」は職人の技術力さへあれば、注文があった時にお客の要望やスペックを聞いて世界で一つだけのONLY ONE の商品を提供できる。その魅力は機械の味ではなく手の温もり感があり、一方では魅力資源である技術力の差が競争原理に直接働く。しかし在庫リスクの心配が要らないし、それが気に入ってくれると「顧客化」となり口コミでの市場拡大の可能性が出てくる。職人さんは決して自分で営業が出来る事は殆どない。物作りのプロなのだ。そこでその技術を市場に紹介する新しい会社が生まれてくる。そこでは顧客と職人の技術力を結ぶ役割を果たしブランドビジネスが可能なのだ。「個質」の商品は決して安い物ではない。高い技能をもった人件費が伴うので当然の事である。ターゲットを絞らなければいけない。団塊の時代の市場がそのターゲットとなるだろう。なぜならば本当の価値観を知っているし生活に余裕がある年代だからだ。この市場は特徴がある本物に理解を示す。

 

このビジネスモデルのPHILOSOPHYは「職人技術とIT技術の融合を未来に繋げる事」である。アナログとデジタルの融合を具現化するのである。そして市場とのコンタクトチャネルを考えるとB2BではなくB2Cが相応しいと思われる。

そして「売上げ」ではなく「顧客信頼」を求めるビジネスモデルへと意識の転換が必要だ。