プッチンプリンの秘密

 

見事に価値軸を「プリン本体の味」から「楽しさを提供する事」に価値軸をずらした大ヒット商品なのである。プッチンプリンの容器は2つの「閃き」と一つの「偶然」から出来ている。まずは企画者の人がフルーツパーラーでプリンを逆さにしてアイスピックのような物でプリンを下に落とす風景を見て、これを取り入れればキャラメルが上にくるプリンが開発出来るとひらめいた。

 

2度目の閃きは同じような機能を持つ海外購入サンプルの容器が倉庫にしまってあるという事。そして金型を作ってサンプルを作るがツメを折ってもうまく穴は出来なかった。そして偶然の産物が不出来な金型でサンプルを作った事である。この不出来なズレは見事に「穴」を生み出す事に成功したのだ。1972年の販売ネーミングは「グリコプリン」これでは売れなかった。そして1974価値軸をプッチンという面白さに変更して名前も「プッチンプリン」に変更してCMも使い大ヒットに結びつき現在でもプリン市場で独占的な強さを持つのだ。2つの閃きはいつも企画の事を考えていた結果生まれた事で偶然ではない。まさに移動距離とアイデアは比例するのだ。

 

そして3つ目の偶然は研究過程のズレの中に生まれた物だ。ペニシリン:フレミング博士は誤って葡萄球菌の中に青カビを混入してしまった。翌日 青カビの周りの葡萄球菌の繁殖

が止まっていた。


田中耕一氏:ノーベル賞受賞研究は誤った調合から生まれた。

余裕や遊びが偶然を呼び込む。

誤りを100%排除していたら生まれなかった。

誤りの中に真実が潜む。

まさに「際」に真実は潜んでいる。決して想定内の中や分析症候群の中には閃きや偶然は訪れないのだ。食べ物なのにその本体ではなく「容器」で魅力価値を生み出し、他社が参入出来ない「壁」を作ったプッチンプリンは偉大な発明だ。提供する側と提供される側との感性が100%同期化している。プッチンとやればプリンがお皿に落ちてくる楽しみ。そうだ、ファンタのフルフルシェイカーズを思い出す。どちらも「楽しさ」を追究してできた魅力価値ブランドなのである。価値軸が「楽しさを提供する」に変わりライバルもアミューズメントパークに変わったとは行かないところが面白い。ライバルはやはり他社「プリン」であり、プッチンプリンの「食べる楽しさ」は独壇場なのである

 

 

開高健が言っていた。

「日本社会に足らないのは粋なジョーク」だと。

固定観念を破る「創造性」は粋なジョークが母体である。

 

198958歳で開高健は亡くなった。

そろそろ鎌倉建長寺に行かなくては。