磯野波平 島耕作 54歳

 

磯野波平 54歳 1895年 9月11日生まれ 京都大学

山川商事 課長   54歳の平均寿命 57

 

島耕作 54歳  1947年 9月9日生まれ  早稲田大学

福岡初芝販売センター代表取締役社長 

54歳時点の平均寿命  77

 

波平さんと耕作さんを比べてみた。

波平氏の54歳時点の日本人男性の平均寿命は58歳程度だから、

波平さんはもう少しで平均に届く年齢なのだ。頭の毛を一本だけ残してサイドの頭髪が残っており、普段着は着物姿である。

 

波平さんは2度の世界大戦を体験しているのだが、現在のサザエさんには戦争の痛ましさは表現されていない。かたや耕作さんは同じ年でも非常に若々しくバイタリティーに満ちている。

耕作さんの54歳時点の平均年齢は77歳であるからまだまだこれからだという風貌をしている。皺は増えても前線で戦う男の風貌をしている。この2人は約半世紀の年の差である。

波平さんが52歳のときに耕作さんは生まれた。半世紀でこんなにも政治経済社会が一変したのがこの54歳の2人を見ているとわかる。豊かな事と幸せな事は次元が違う。豊か=幸せではな

い。最も変わったのはインターネットによる情報のスピード感や量ではないかと思う。しかしこれも、早い情報=正確な判断ではない。それは知るだけの行為であり、知らない方が良い事

もあるにちがいない。一早い情報や量の多さは決して幸せ感と比例しない。情報の多さよりも思考力の強さが必要だと思う。自分の生き方や考え方や哲学が希薄になっている気がしてなら

ない。これは現在の経済成長が生み出した功罪だと思う。

 

サザエさんは時間が止まったドラマだ。

高度成長時代に入り豊かになった昭和の風景を止めて展開している。魚屋 八百屋三河屋のサブちゃんのご用聞き(出身は一橋大学!) 子供達の髪型 服装 学校生活 宿題 テスト 携帯電話はなく家には黒い電話 食事中に携帯でゲームやメールもない 子供達は塾もなく放課後は公園で野球だ。時々人の庭にボールが入り込んでは、頭を下げてボールを取りに行く。食事はちゃぶ台で家族揃って頂く。子供達は必ずおやつが用意されている。そんなかつてはあった「昭和の風景」が日曜日のゴールデンタイムに君臨しているのだ。視聴率は今でも10%を超えている。もう「昭和の風景」を知らない人たち迄がサザエさんを見ているのだ。それはこのドラマが安心感や憧憬や家族や地域の絆を表現しているからではないだろうか?現在の社会のシステムは「心」の豊かさは求めていない。「金の動き」が優劣を決めるシステムだ。日本の平安時代は「五感五道」といって「感性」を重視した政策があり国は、茶 華 香 書 画 を推奨していた。価値の多様性をお互いの「価値観」を認め合う時代風景があった

のだ。認め合うから争いも起こらない。これからの世界に必要なのは正にこの精神ではないかと思う。