72歳のラガーマンが教えてくれた

 

 

 

「予定調和が壊れた」

72才のラガーマンのセービング〜

 

 

 

先週の土曜日に僕は地元の「釜利谷シニアクラブ」という関東学院

大学のグランドを使えるラグビーチームに入った。高校大学とラグ

ビー部だったとはいえPLAYをするのは30年振りになるだろう。

久々にユニフォームを着てシューズを履いてボールに触れるとなん

だか嬉しくて熱くなってしまうのがラグビーをやっていた人の性な

のである。

メンバーの方は中心が60歳だと聞いて驚いた。僕はジムに通ってていたのである程度の体力はあると思っていたのだが・・・・・。

現在僕は56歳。僕より年上のオジさんたちは、エネルギッシュで

やけに足が速いではないか!活動的なお婆さんや美熟女に押されて

男性社会全体が女性化している中、土臭いエネルギッシュな「オヤ

ジ男達」が存在していたのだ。グランドは関東学院大学のグランド

なので広くて芝も綺麗で申し分ない。広いグランドには「7人制女

子ラグビーチーム」「タッチフットの子供チーム」一緒に練習してい

る。

ストレッチをやって軽くランパス(ランニングパス)で体をほぐし

て、先ずはタッチフットを始める。タックルの代わりに両手でタッ

チされるとポイントを作ってパスをしなければならない。やってい

るうちにだんだん熱くなり、タッチが強くなりスピードも速くなる。

フォワード出身の人は自らぶつかって行く。つまり本能が目覚めて

いくのだ。ラグビーは球技と格闘技の織混ざったスポーツだと僕は

思う。それぞれのポジションのプライドが燃え始めるのだ。

やがて7人制の練習になった。アタックディフェンス(試合形式)

だ。最初は「タックルなしのホールドで行きましょう」「怪我しない

ように」リーダーの指示が聞こえる。しかしゲームが始まると、も

う顔つきが違うのである。ホールドがだんだん強くなり「本気モー

ド」にかわる。学生時代を思い出す。

今自分はラグビーオヤジ軍団の一人になっていると思うと嬉しいの

だ。しかし、もう足はつるし腰は痛いし喉がカラカラ状態だ。

そのとき、僕は驚くべき光景を見た。正に予定調和が完全に壊れた

のだ。72歳の最年長の先輩オヤジが果敢にも自陣インゴールに転

がったボールに向かって飛び込んでチームの為に献身的なセービン

グを行ったのだ。

相手がボールを押さえるとトライになるので身を投じてボールを押

さえに行ったのだ。この72歳の勇敢なオールドオヤジラガーマン

は!思わず「ナイスファイト!」と叫んだ。

彼はニヤッと笑いながら、しばらく倒れ込んで動かなかった。エネ

ルギーを瞬間に使い果たしたのだろう。やがてヨロヨロと立ち上が

った。まわりのオヤジ達は全く何事もなかったようにしている。

そう、ここでは年齢の特別扱いはないのだ。グランドにでたら全員

が平等なのである。このオールドラガーオヤジもそこがよくてこの

チームにいるのだろう。彼の自己犠牲と献身がチームを救った。

 

固定観念や慣習が壊れたときに、そこには何か新しい物が生まれて

ある人は嘆き、ある人は喜ぶ。INNOVATIONは2種類の感情や利害

関係をもたらす。これは仕方がない事。しかしINNOVATIONはパ

ンドラの箱を開ける。つまり新しい思考やビジネスが生まれて社会

全体を活性化するのだ。これは不可欠にして自然なのである。

 

72歳のラガーマンは僕に「年齢の固定概念」を目の前で壊してく

れた。僕は体力と筋力をつくり直して試合に出る体を作る事にした。

 

いつもと同じ生活からは中々新しい発想は生まれない。30年振り

に触ったラグビーボールの感覚が僕の心に新しい種をまいてくれた。

 

72歳になって僕もあの「献身的なセービング」ができる「男」で

いたい。それがあらたな目標である。

 

 

青春とは若い年齢の事を言っているのではない。

水々しい精神を持つ事を言うのだ。

大人の青春は更に

「自己犠牲」と「献身」を備えなければならない。

 

オランダ・カフェ(詩人)