誰も気づかれない美しい音色
ワシントンDCのある寒い朝の光景です。
一人のバイオリニストがおもむろにバイオリンを弾きはじめました。
彼はバッハの曲を1時間弾き続けました、結果は6人の人が彼の演奏に気づいて立ち止まりました。聴かずにお金だけをバイオリンケースに入れたのは20名でした。1時間でかれは32ドルを稼ぎましたが、演奏が終わったときには誰も気づかないし拍手もありませんでした。
バイオリニストの名前はジョシュア・ベル。彼は世界的に有名なミュージシャンで彼のバイオリンは3億円もする名器でした。二日前のボストンでのコンサートチケットは100ドルで直ぐに完売るほど人気があるバイオリニストだったのです。この実験はワシントン・ポスト紙によって行われました。
(FACE BOOK Suspended Coffee Japan から)
朝の通勤時の出来事だとしても、この事は非常に意味が深い事です。感性的にもマーケティング的にも考えさせられます。「価値」に対して我々は殆ど「受動的」な立場なのかもしれません。商業的なお膳立てやプロモーションによって作られた価値の輪郭の枠を見て、人はそれに同期する事で「価値」を決めているような気がします。自主的な「価値」を見つける機会を現代の情報社会は少なくしているのではないでしょうか?そう、全てが与えられて便利すぎるのです。自分で「探す」事が少なくなってしまっているのではないでしょうか?本当はすぐ近くに、我々が気づいていない「価値」がまだまだ眠っているのではないでしょうか?我々は多くの「価値」を見過ごしているのではないでしょうか?
この実験が朝ではなくて、余裕がある午後のひと時であれば結果は違ったのだと思います。現代社会は余裕をいつも与えてはくれないのです。
新しい価値は「余裕」と「自己の尺度」が無ければ見つけることは出来ないと思います。
またいくら「本物の価値」を持っていたとしても、廻りの環境次第では見えなくなってしまうと云う事も、この話は教えてくれます。もし、休日の午後であったならばこの結果にはなっていないと思うからです。
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