桜のような人 薔薇のような人
 

 

桜と薔薇について真剣に考えたことがありますか?
本を読んでいるとこんな事が書いてありました。

オランダに筆者が行った時のことです。丁度大きな桜の木が大学の職員室の前で5分咲きだったそうです。滞在中に678分満開そして華吹雪と日本の桜と同じようにその「美しい物語」を演出してくれたそうです。ところがオランダの人々は全く桜に興味がない。

 

花が咲いたとも美しいとも散ってしまうとも「詫び寂び」や短い美しい時期を懸命に生きようとする桜に誰一人感動しなかったそうです。様々な色のチューリップには感動していたそうですが。これを読んだ時に日本人は「感性豊かな人」だということを改めて知りました。また「価値感」は環境が創りだすのです。だから異国で「ビジネスのヒント」が生まれる事が多いのです。

 

そこで思いました。綺麗で美しい桜ですがもし「あなたは桜のような女(ひと)」と言われたらどうでしょうか?これは女性としては嬉しい言葉でしょうか。それどころか厭な気持になってしまうのではないでしょうか?一年に数日だけ綺麗な花を咲かせてあっという間に散ってしまう花に似てますねなんて言われたくないですよね。一年のほとんどを無口で過ごして2週間ほどしか綺麗な花の時期がなくてその時期以外は話題にも上らないのですからね。貴方は桜みたいな人だとは云わないほうが

いいと思います。そして桜は一本の木よりも、桜並木のような沢山の桜の集合体がより美しいのです。しかし全く同じ時期に

咲いて華吹雪となって朽ち果ててしまうのは同じです。

 

それに対して薔薇は違います。これは咲き誇り「私は薔薇よ。綺麗でしょ。いい香りもするのよ。」と明確に自分自身を押し

ています。時期も一年中楽しめますから「薔薇のような女(ひと)」といわれることは「華やかな女(ひと)」と同じ意味で

ポジティブな印象を与えます。

 

同じ美しい花でも桜と薔薇はこうもニュアンスが違うのです。同じカテゴリーで同じ「美しい」という性質を持っていても「違うイメージ」を持つものは沢山ありそうです。

薔薇繋がりのテーマをもう一つ。

 

 

 

桂由美さんと薔薇の深い関係

 

 

 

世界的なウェディングドレスのデザイナー桂由美さんと打合せをおこないました。

ウェディングではなくファッション化に成功したROSE YUMIROSE というカジュアルラインの打ち合わせです。

80歳を超えても相変わらずパワフルで記憶力行動力が全く衰えない由美さんを尊敬するばかりです。

最近スマートフォンを使い始められましたので「能力の進化」は年齢とともに進化するケースもあるのではと思います。

 

 さて今まで何度か打合せをしてきましたが「かみ合わない」ところがありました。今回そこがクリアーになって勉強させられ

た思いです。こちらはファッション業界ですので企画を起こすときは「素材」と「色」をまずは最初に決定していきます。と

ころが先生はウェディング業界です。先生は50年間の企画は全て「薔薇のデザイン」「薔薇の表現方法」をまずは考えられる

のです。そのポイントには「驚くべき深み」があります。先生のデザインは全て様々な「薔薇」の表現なのです。先生のビジ

ネスの目的は「花嫁を世界一綺麗に見せる事」です。この目的を達成するために美しい薔薇の表現力が「機能」として求めら

れます。先生を見てると薔薇の表現方法が決まると、素材、デザインが生まれてくるようなのです。

 

 つまり薔薇の表現が素材、デザインを作り上げていくという事です。これは商品価値構造の中心部が「花嫁を世界一綺麗に見

せる事」そのためのテクニックとして「薔薇の表現力」がありそれに素材、デザインが追従するという事です。

 

 「細部にデザインは宿る」といいますが、それを目の前で教えられた想いがします。まだまだ僕ら企画を仕事としている人は

考えなければいけないことがたくさんあるような気がします。

 

 

 

デザインは薔薇のモチーフに追従する。

 

これはクリエイション(企画)の「差別化」です!