時代の振り子は動いている

~流動性知性から結晶性知性の時代に~

 

左脳的ロジカルシンキングの時代から右脳的センシビティーシンキング思考の時代に「思考」の振り子は大きく振り戻っている。

2001911NYテロ 2008915リーマンショック 2011311東日本大震災 この3つの大きな衝撃が思考の振り子を、右脳的センシビリティ思考に戻している。「拡大」「利益」「競争」「格差」「統一」「管理」「規制」というキーワードが「環境」「再生」「絆」「献身」「犠牲」「多様」というような価値感に時代の振り子は進んでいるのだ。

 

能の流動性知性とは「記憶力」である。この記憶力を司る細胞は18歳をピークとして減少し始める。だから年齢と共に「忘却」は人間として当たり前の事なのだ。これを「退化」としてみなすのはネガティブな考えである。一方、結晶性知性は年齢と共に発達する。「創造性」を司る左脳の細胞である。知識や経験がこの結晶性知性を発達させるのである。ピカソの晩年までの創作活動はまさに「結晶性知性」のなせる技なのである。年齢を取らなければ出来ない人間の素晴らしい能力なのだ。しかも「創造性」は「均一」や「規制」や「管理」を嫌う。自由な発想の子供たちなのだ。「多様性」があり「共存」することが出来る人間の優れた能力なのだ。

男性社会の引退の年齢が65歳まで上がり、70歳以上でも結晶性知性を使い若い年齢に交じって活動する事が当たり前になってきた。時代の振り子が静かに大きく左脳的感性思考に触れているのだ。

 

じつは平安時代にも同じような価値感の時代があったのだ。「五道五感」の時代である。時の天皇の政治は「文化を推奨し感性を養い平安な社会を創る政策」を推奨したのである。

「華道 茶道 香道 書道 画道」これが5道。「見る 香り 聴く 味覚 触れる」これが5感。

なんとも素晴らしい政策ではないだろうか。まさに感性を十分に活

用した政策だ。この話は僕が京都でタクシーの博学な運転手さんに教えて頂いたのだ。京都には博学な運転手さんが多い。

 

じつは近年同じような政策をとった国がある。

「イギリス」なのだ。1997ブレア政権のときにとられた大きな政策は「イギリスが世界のデザイン工房になる」というものだ。これが意味するところは、大量生産に物を造る事は新興国にシフト

し、ITのソフト開発も新興国にシフトする時代になる。先進国の役目は「創造力」でINNOVATIONを起こすことだ。そのために「産学連携」を強化し「ロンドン芸術大学」を設立した。6つの大学に世界100カ国から24000人の学生を集めたのだ。新しい産業の創造や価値の差別化は「デザイン力」であるという新しい時代を切り開く哲学だ。

掃除機のダイソンのイノベーションやサーリチャードソンの宇宙空間旅行や深海旅行の挑戦はそんな環境の中で生まれたものだ。

 

 

なんだかドキドキして楽しいものや事を生みだす創造力。

人類が持つ最高の能力だと僕は思う。