iPS細胞に思う
~意外性の連鎖反応~
Induced 「誘導された」
Pluripotent 「多能性」
Stem cell 「幹細胞」
山中教授はiMacにあやかりapple社のネーミングを真似したのでしょうか?小さなiが印象的だとは思いませんか?その気持ちがあったのは事実だそうです。固い科学の世界にもネーミングはとても重要なポイントとなります。そのネーミングを他の研究者が使用していくことで認められていくのですから、この場合アメリカの研究者がiPSと言うネーミングを後に使った事で名前が定着したそうです。アメリカの研究所ですから多分APPLEを使っていたと創造できます。その小文字のiはお互いの価値感が同期したと
思います。
感性の同期化が起こったのです。通常のケースですと研究論文の発表はアメリカ人は他のグループの発表したネーミングは使わないそうです。その彼らが使うほど感性溢れる素晴らしいネーミングです。
もう一つのユニークなポイントがあります。
最終的に24個の遺伝子が候補として残りました。24個の遺伝子をまとめて細胞に導入するとiPS細胞が出来る事が確認できました。しかしここからです。
24個の中にはどれだけ不必要なものと必要なものがあるか解りません。この組合せを実験していくと膨大な時間が必要となります。ここで「コロンブスの発想」です。
「24個の中から一つずつ遺伝子を減らしてみてはどうですか」というアシスタントの高橋さんの一言です。
下から組み合わせてきた固定された実験の方法を壊してしまったのです。そして1年間かけて4つの遺伝子を特定する事が出来たのです。これがヤマナカファクターと呼ばれるiPS細胞です。鳥瞰で見る発想がこの偉大な遺伝子を発見することになったのです。
常識の外から物事を観た結果ですね。山名教授は常にどんな意見でも公平に聴くようにしているそうです。そうすれば自分が気がつかない事でも仲間が気づかせてくれます。
そして新しい発見をする事についてこんな事をおっしゃっています。
「一見遊びにみえたり無駄や遊びの中に、実は豊かなものや未知なるものが沢山隠されているのかもしれない。無駄な物を剥ぎ落そうとして、そうした未来の種まで捨て去ってしまわないようにしたい
ものです。」
直線的な人生と螺旋的な人生があると思います。
直線的な人生は就職したら一生その会社に尽くす。結婚したら一生離婚しない。
そう解りやすく明快なコースです。殆どの日本人はこのコースを求めるのは当たり前だと思います。これが正しい生き方であると思っている方が多いのではないでしょうか?
しかし事実ですか?
ところがここでは中々新しいものは見えてこないのです。この中ではinnovationは絶対に生まれません。螺旋形の人生は紆余湾曲して、研究の対象や分野を変えたり、転職したり離婚したり再婚したり、色々な物や事を体験する事に他なりません。決して離婚を肯定している訳ではありませんが、例えばア
メリカの離婚率は50%です。転職は5回ぐらいが平均でしょうか、日本とアメリカが違うところがアメリカはいつでも「やり直す」事を社会が認めていると云う事だと思います。
例えば倒産するとなんだか後ろめたい気持ちになってしまうし再チャレンジも難しいのが実情です。
山中教授も決して直線的な人生ではありませんでした。臨床外科では腕が悪いので「ジャマ中」と呼ばれていたそうですから。螺旋の人生の中でやっと自分の目的を発見されたのです。
今朝のニュースで新入社員にアンケートした結果「一生この会社を変わりたくない」という人が80%もいました。安定的な成長が見込める経済下ではこれは正しい判断化もしれませんがこの超成熟化の経済環境では決して正しい判断とは言えません。決して現代の会社は一生の雇用を保証する事は出来ません。一人でも生きられるような技術を身につける事が正しい判断なのです。
企画も同じです。オリジナリティーの技術を開発する事がとても重要な時代です。
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