商品の本質「価値の根源」について

 

今回は価値の根源について考えてみたいと思います。

中国と仏国に二つの諺があります。

先人の残した素晴らしい言葉を紹介します。

 

桃李不言 下自成蹊 (中国)

桃李もの言わざれども 下自から蹊を成す

(有徳の人の元へは自然に人が集まる)

桃やすももは元来が美味だから、別に人を集める工夫をしなくても

事前に人が集まり、その歩いたところが道となる。

 

なにかグサッとくる言葉ですね。

本当に美味しいものはマーケティングなしでも人が集まり道が出来ると言っています。人格もまた本物であれば飾る必要もなく自然に人が集まると。

 

 

Good wine needs no bush (仏国)

「美酒は看板を必要としない」

 

簡潔でシンプルな表現が素晴らしいですね。やはり同じように美味しければ宣伝広告はいらないと云っていますね。僕もこの考えに同感します。

 

価値の根源はその物の目的の「本質機能」です。

本質機能とは商品のハード部分の事です。食べ物であれば「味」、モノや機械であれば「機能」です。ここで絶対的な差別化を作り上げれば、マーケティングや宣伝広告は必要ないのでしょう。

 

マーケティングが発達した1900年初頭の産業革命で大量に商品が生産されるようになり企業間の「競争」が激しくなりました。市場シェアの拡大のために商品企画にスピードを求める事を重視した為に、商品の「本質機能」での差別化に対して意識が希薄になったと思います。

 

その為に「本質機能」意外での「差別化」を作り上げていくために考案された機能がマーケティングなのです。同じ機能やテイストや味覚の商品であれば、残りはマーケティング活動だけが差別化の要因となります。

そしてついには商品の寿命が短くなりましたから、自らが自分の商品を「陳腐化」させて新商品を導入し売上をつくるような地球に優しくない経済サイクルが生まれてしまったのです。

(この産業革命から生まれたマーケティングから、震災後のマーケティングは大きな価値変化あって当然なのですが・・・。)

 

ではこの話はどうでしょうか?

 

初代の帝国ホテルの料理長は、部下である多くのコックさんに指示を出しました。「皆さん 出来るだけ太って笑顔で仕事をして下さい。そしてそれを維持して下さい。お客様にとって太った笑顔のコックは ‘美味しさ’をイメージさせる重要なサービスだからです。」

ちなみに健康管理はホテル側が責任を持つ事も約束されたそうです。味覚だけが美味しさを伝えるのではなく、お客様が本来持って期待している「美味しさのイメージ」を味覚の前に提供するという事です。痩せてぶっきらぼうなコックさんよりも太って笑顔のコックさんのほうが確かに「美味しい食事」を作ってくれそうな気がします。この太ったコックさんの美味しいイメージはどこからきたのでしょうか?

日本食のコックさんは太ったイメージはあまりありません。寿司職人さんなんて痩せてキリッとしている感じが美味しいお寿司を連想させますね。このイメージはどうやら小さいときに絵本やテレビで見た「西洋の美味しさのイメージ」が刷り込みされているような気がします。洋食の刷り込みを十分に理解されてコック長は部下に「太って笑顔で」と指示されたのでしょう。

これはとても重要な事です。お客様が描くであろう「美味しさ」の環境を先に構築して、テーブルにつくとそのイメージと同じ味覚の食べ物が提供されるのですから。お客様にとっては「イメージ」と「美味しさ」がイコールとなって満足される条件を見たしていると思います。これは「美味しい食事」は当たり前を前提にしています。おいしい食事をより美味しく食べてもらうために「美味しい環境」を整えているのです。

 

時代は進化します。

現代ではこれは当たり前の事になってしましました。

だから王道からヒット商品は中々生まれずに「際きわ」からヒット商品が生まれるようになりました。

王道は予定調和なのです。ここまでやっても必ずここで食べたいとは思わなくなってしまったのです。なにかここしかないモノ・コトがなければ足が遠のいてしまいます。

心にフックが中々かからなくなってしまいました。

 

 

「とんえるずのみなさんのおかげでした」のコーナーにある「きたなシュラン」をご覧になった方がいらっしゃるかと思います。このコーナに紹介される店は外観、内観に無頓着な店ですが、やたらに美味しい食べ物がある店を紹介する特集コーナーなのです。僕もこのコーナーのファンでした。まずはその店構えがアップされたときに笑ってしまいます。「えっいまどきこんな店があるの!」という感じです。汚くてすごい店が多いのです。個性と言えば個性でしょうが既にかなり「予定調和」から崩れている。フックがかかります。

 

そして中に入ると雑然としている。規則性や清潔感的な印象は感じない。ところが名物のメニューを頼むとこれが美味しいんだそうです。見ている自分も一度行きたくなってしまう、そして口コミでしゃべりたくなってしまう。汚い店だけどやたらに美味しいとは「予定調和」を完全に壊しています。

 

反対に綺麗な店だけど料理がまずい、もしくは笑顔で愛想は良いいコックさんだけど美味しくない店は廃れていきます。

 

やはり価値の根源はその本質機能だと思います。

 

マーケティングや宣伝広告に頼らない「本質機能」をどこまで追求できるか?商品の価値はそこにあります。

 

そしてコアである商品の「本質機能」を取り巻くように「マーケティング」が実在して「本質機能」を引き立たせるのです。この「マーケティング」の中に「予定調和を壊す」エッセンスを仕掛けることが重要なポイントとなります。

 

エッセンスを仕掛けるには「遊び」が必要になります。自分が楽しまなければ「人」には伝わりませんから!

会議室からフィールドに出ましょう。

沢山のアイデアが待っています。

全ての企画者はアーティストなのです。

 

 

本人が科学技術で世界制覇出来ると思うのは

間違いであります。

日本に一番ないものは何かというと

芸術とデザインです。

(日本公演より)

エズラ・F・ヴォーゲル

JAPAN AS NO1の著者