ライバルは誰だ?
        ~ハンカチは小さなステップを繰り返し大きく進歩する~

ハンカチです。
小さなハンカチが大きなマーケットの流れの中で絶えず知恵と勇気をもって確実に「進化」しています。
今回はこの小さなハンカチの大きな変化について「感性分析」してみたいと思います。
あなたにとってハンカチとはなんでしょうか?
~現在のハンカチのライバルは「食料品」である!~
約40年ほど前小学校では「ハンカチ」「ちり紙」検査があって先生や風紀員が検査していた記憶があります。道徳的に「必需品」として必ず持ち歩くものだったのですね。
もちろんお父さんもお母さんもハンカチは必ず持っていくエチケットとしての必需品でした。そしてこのハンカチは「ギフト需要」としての市場も大きく、「ちょっとした心使い」にぴったりの商品だったのです。そして各社はライセンス生産をしましたので、ブランド物がハンカチ売り場に並ぶようになり小さなハンカチでもブランドを所有する満足感を持てるようになったのです。そうですね、これは高度成長時代の代表的な売られ方だったのです。しかもこのハンカチは「サイズ」もなく「季節感」もないので「リスク」が少ない商品だったのです。

① 「素材変化」~タオル地の普及~
(理由1)機能重視
つまりコットンの平織り(薄い織り方)からタオル地に変化してきました。これはギフト需要が徐々に下降して自分のためだけに「購入」するケースが増え「タオル地」の水分を吸収する機能性が市場に受けたのです。今では60%以上はタオル地です。
(理由2)簡単メンテナンス
綿やリネンはアイロンが必要で手間がかかるのですが「タオル地」はアイロンの手間も省けます。毎日使うものですから「清潔」なハンカチを求められます。何回も洗って干していればあとは畳むだけで使用する事が可能です。
(理由3)拭く行為の増大
地球温暖化の影響で「汗を拭く行為」が増えています。またペットボトルの普及によって周りの水滴を「拭き取る行為」が増えています。自分用やペットボトル用等の用途別に使用されています。

② 「形の変化」~隣のカテゴリーへの侵略~
(ハンカチのスカーフ化)
タオル地で幅はハンカチ幅40センチで長さが90㌢の長い「ハンカチタオル」という商品がヒットしているのです。決してファッションではなく機能性を求め、首に汗をかくので長いタオル地のハンカチタオルが生まれたのです。価格は2000円程度ですから購入しやすい価格帯です。使う側の感覚としては「ファッションタオル」という気分でしょうか?ここへはスカーフからの侵略は困難なのです、なぜならば「スカーフ」はファッション要素が強く「汗ふき」としての要素をスカーフに入れてしまうと根底にあるファッションとしてのスカーフが壊れてしまい高額品が販売出来ません。
(ポケット機能付きハンカチ)
そしてパーツを加える事で新しい機能を持つ事になりました。そればタオル地のハンカチにポケットを付けたのです。「ポケッタブルハンカチ」の誕生です。
これは、女性がお化粧直しをする再にポーチのような大げさな物ではなく、使用するのは「口紅」などの限られた化粧用品ですから小さなポケットに何気なく目立たないよいに「口紅」を入れて席を立って化粧室に行けるという機能とファッション性を持ち合わせています。もちろん「汗を拭く」という行為を維持しつつ「ポケット」を付けたわけですから「汎用性」が高く口紅等を入れることを想定していますから「ファッショナブル」でなければいけません。
(ハンカチのバッグ化)
そしてこのハンカチはバッグのアイテムにまで進化しています。それは巾着ハンカチなのです。形を説明しますと広げると普通のタオル地のハンカチですが周りに穴が施されておりその穴を「紐」が走っています。その「紐」を引っ張るとなんと巾着に変化します。平らなハンカチが立体的なハンカチ巾着にかわるのです。女性が特に旅行先等で小さな細かい物を分別して入れる際(化粧品 薬 キャンディー コンタクトレンズ等)にとても重宝される商品です。そのまま広げて使えばハンカチですし、紐を引っ張れば「巾着」に変化して更に、これに小さなポケットを付けると「ポケット付き巾着バッグ」に代わってしまうのです。しかも簡単に洗濯もできるのですから「使い回し」と「簡単手入れ」に優れた商品だと言えます。

A
「素材を変える」事で基礎的な「メンテナンス機能」が大きく進歩しました。
B
「長くなる」「機能を追加する」「立体にする」などの形への変化とその「組み合わせ」が新しい「価値軸」を生みだしていきました。

(ライバルは食料品)
これは「ギフト需要」という価値軸でのライバルです。
その1000円前後の価格帯のメリットで(送る人贈られる人に大きな負担がない)、ハンカチは百貨店婦人雑貨のトップのカテゴリーです。「ギフト重要」を伸ばす為に企業は様々な手を打ってきます。
日本は四季があり公的私的な行事があります。ハンカチは基本的には大きな「素材」の違いはありませんが、「色」「素材感」「デザイン」「PROMOTION」で季節感を表していきます。そして年間のギフトイベントに合わせた「バレンタイン」「ホワイトデイ」「母の日」「父の日」「卒業」「入社」「クリスマス」「誕生日」等の商品開発が12ヶ月の月別ギフトマーチャンダイジングとなり的確に行われているのです
この大きなギフトを新価値軸に考えたときにこれからのライバルは食料品となります。食料品は「食べる」という人間の根源的な活動の中にあるカテゴリーです。お中元お歳暮をみると殆どが「食料品」なのは頷けます。(靴下もかつてはこのカテゴリーでした)
婦人雑貨の中では、ハンカチかはすぐ横のカテゴリーへは半歩参入する事に成功しました。しかしもっと大きな巨人「食料品」があります。次のターゲットはこの食料品のギフト牙城をいかに攻略するか?!ここが大きな価値軸変化の発想元となり企画が進められています。小さなハンカチの大きな進化は決して止まる事はありません。
異業種での新しい価値軸でのマーケティングの攻防はこれから更に始まろうとしています。

参考:http://connect-de-r1.jimdo.com/ハンカチのライバルは食料品/